給与明細を見て、ふと感じる違和感
同期と飲んでいるとき、ふとした拍子に「今年、けっこう税金取られたよね」という話題になった。年収はほぼ同じはずなのに、なぜか相手の方が手取りが多い気がする。そういえば、会社の先輩も「控除をうまく使えば税金は変わる」と言っていた。でも、控除って何をどうすればいいのか、正直よくわからない。同じ年収なのに税金に差が出るなんて、本当にあるのだろうか。そんな疑問を抱えたまま、毎月の給与明細をなんとなく眺めている自分がいる。
税金の仕組みを「知らなくても困らない」環境にいる
会社員として働いていると、税金のことを深く考える機会は意外と少ない。給料から自動的に引かれているし、年末調整も会社がやってくれる。確定申告も、医療費がかさんだり副業をしていなければ、ほとんど縁がない。つまり、税金について「知らなくても日常が回る」環境に置かれている。だからこそ、同じ年収でも税金に差が出る仕組みがあることに、気づきにくくなっている。知らないことで損をしているかもしれないのに、そもそも「何を知らないのか」すらわからない状態になりやすい。周りも同じように会社任せにしているから、疑問を持つきっかけすら少ない。そうして、税金の差は「運」や「会社の違い」として片付けられてしまう。
税金の差を生む要素を、少しずつ整理してみる
「年収」と「課税所得」は別物だという視点
同じ年収でも税金に差が出る最大の理由は、税金がかかる対象が「年収そのもの」ではなく「課税所得」だからだ。課税所得とは、年収から各種控除を引いた後の金額のこと。つまり、控除が多ければ多いほど、課税所得は減り、結果として税金も減る。年収が同じ500万円の二人がいても、一方が控除を多く使っていれば、その人の方が税金は安くなる。この「控除」には、生命保険料控除、医療費控除、住宅ローン控除、iDeCoなどさまざまな種類がある。自分がどの控除を使えるのか、使っているのかを把握しているかどうかで、税金の額は変わってくる。
同僚が「ふるさと納税やった」と言っていた場面
ランチのとき、隣の席の同僚が「今年もふるさと納税やっておいた」と話していた。返礼品がもらえて、しかも税金が安くなるらしい。でも、自分はまだやったことがない。手続きが面倒そうだし、本当にお得なのかもよくわからない。そもそも、ふるさと納税をすると税金がどう変わるのか、仕組みを理解していない。こうした小さな選択の積み重ねが、同じ年収でも税金に差を生んでいる。同僚は特別な知識があるわけではなく、ただ「やってみた」だけかもしれない。その一歩があるかないかで、数年後の手取りには意外と大きな差がついている可能性がある。
全部を理解しようとせず、一つずつ確認する姿勢
税金の仕組みを完璧に理解する必要はない。大事なのは、「自分が使える控除は何か」を少しずつ確認していく姿勢だ。たとえば年末調整の書類を見直してみる。生命保険に入っているなら、その控除証明書をちゃんと提出しているか。医療費が年間10万円を超えたことがあるなら、確定申告で医療費控除を使えるかもしれない。iDeCoに興味があるなら、まず資料を取り寄せてみる。こうした小さな行動が、税金の差を縮めるきっかけになる。焦って全部をやろうとしなくていい。まずは一つ、自分に関係ありそうなものから目を向けてみる。それだけで十分、前に進んでいる。
すぐに動けなくても、焦る必要はない
同じ年収でも税金に差が出ると聞くと、「自分は損をしているのでは」と焦ってしまうかもしれない。でも、税金対策は今すぐ全部やらなければいけないものではない。家族構成や住宅ローンの有無、加入している保険の種類など、人によって使える控除は違う。誰かにとって有効な方法が、自分にも当てはまるとは限らない。たとえばiDeCoは節税効果が高いが、60歳まで引き出せないというデメリットもある。ふるさと納税も、限度額を超えると自己負担になる。無理に始めて、後で困るよりも、まずは自分の状況を整理することの方が大切だ。今年できなくても、来年からでもいい。知ること自体が、すでに一歩目になっている。
少しずつ知ることで、選択肢が見えてくる
同じ年収でも税金に差が出る仕組みは、決して複雑すぎるものではない。ただ、知る機会が少なく、自分から調べないと見えてこないだけだ。控除という仕組みがあること、それを使うかどうかで税金が変わること。その事実を知っているだけで、毎年の年末調整や確定申告の見え方は少し変わってくる。焦らず、自分のペースで、一つずつ確認していけばいい。数年後、ふと振り返ったときに「あのとき少し調べておいてよかった」と思える日が来るかもしれない。税金の差は、知識の差ではなく、ちょっとした関心の差から生まれている。

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