見落とされがちな控除項目まとめ

目次

確定申告の書類を前に、なんとなく感じる「これで本当に全部なんだろうか」という引っかかり

毎年2月になると、会社から源泉徴収票が配られて、医療費の領収書を引っ張り出して、ふるさと納税の証明書を並べて。やるべきことはやったはずなのに、なんとなく心に引っかかるものがある。本当にこれで全部なんだろうか。もしかして、自分が気づいていないだけで、申告できる項目が他にもあるんじゃないか。そんなモヤモヤを抱えたまま、毎年同じ項目だけを申告して終わっている人は、意外と多いんじゃないかと思う。控除というのは、税務署が教えてくれるわけじゃない。自分で気づいて、自分で申告して、初めて適用される仕組みだ。だからこそ、見落とされがちな控除項目というのは確実に存在していて、それを知っているかどうかで、数万円から場合によっては十万円単位で手元に残るお金が変わってくることもある。

「よく知られている控除」だけが目立ってしまう情報環境

医療費控除、ふるさと納税、生命保険料控除。これらはテレビやネットでもよく取り上げられるし、会社の年末調整でも案内がある。だから多くの人が知っているし、実際に使っている。でも、控除項目というのは実はもっとたくさんあって、その中には「条件に当てはまる人が限られている」「申告方法がやや複雑」「そもそも控除という認識がない」といった理由で、存在自体が知られていないものも少なくない。情報というのは、目立つものほど繰り返し取り上げられるし、取り上げられるほど「それが全て」だと思い込みやすい。逆に言えば、メディアがあまり取り上げない控除項目は、該当する人がいても気づかれないまま見過ごされてしまう。自分には関係ないと思っていた項目が、実はライフステージの変化や働き方の変化によって、急に該当するようになることもある。引っ越し、転職、親の介護、副業の開始。そういった変化のタイミングこそ、控除を見直す絶好の機会なのに、日々の忙しさの中でそこまで意識が向かないのが現実だ。

自分の状況と控除を、もう一度ていねいに照らし合わせてみる

「控除=節税テクニック」ではなく、生活の変化を映す鏡として見る

控除と聞くと、どうしても「得する方法」「賢い人がやっているもの」という印象が先に立つ。でも本来、控除というのは生活の実態に合わせて税負担を調整する仕組みだ。たとえば、セルフメディケーション税制。これは医療費控除の特例で、市販薬を年間1万2000円以上購入した場合に使える。病院に行くほどではないけれど、風邪薬や胃腸薬、湿布などをドラッグストアで買うことが多い人なら、意外とこの金額に届いている。でも「医療費控除=病院の領収書」というイメージが強いせいで、市販薬も対象になることを知らない人は多い。控除を「お得な制度」としてではなく、「自分の生活がどう変化しているかを映す鏡」として捉え直すと、見えてくるものがある。

在宅勤務が増えた同僚が、ふと口にした「電気代、結構上がったよね」という会話

コロナ以降、週に何日かは自宅で仕事をするようになった。通勤時間が減って楽になった反面、光熱費や通信費は確実に増えた。ある日、同僚とそんな話をしていたときに「これって経費にならないのかな」とふと疑問が出た。会社員の場合、基本的には経費という概念はないけれど、副業をしている人や、業務に必要な資格取得をした人なら、特定支出控除という仕組みが使える可能性がある。図書費、衣服費、交際費など、業務に必要だった支出が年間で一定額を超えた場合、控除の対象になる。ただし会社の証明が必要だったり、給与所得控除額の半分を超える必要があったりと、ハードルは低くない。それでも、該当する人にとっては数万円単位の還付につながることもあるから、一度確認してみる価値はある。

「今年は無理でも、来年からは意識してみようかな」でいい

控除項目を知ったからといって、今すぐ全部を使いこなそうとする必要はない。まずは自分の生活の中で「これ、もしかして該当するかも」と思う項目を一つだけピックアップしてみる。たとえば、親の医療費を負担している人なら、扶養控除や医療費控除の対象になるかもしれない。地震保険に入っている人なら、地震保険料控除が使える。寄附金控除も、ふるさと納税以外に認定NPO法人や公益法人への寄付が対象になる。一つひとつは小さな金額かもしれないけれど、積み重なれば確実に違いが出る。そして何より、「自分の生活と税の仕組みを結びつけて考える習慣」が身につくことのほうが、長い目で見れば大きい。

すべての控除を使いこなす必要はないし、人によって優先順位は違う

ここまで読んで「やっぱり面倒くさそう」と感じた人もいるかもしれない。それは当然の反応だと思う。控除というのは、申告しなければ適用されない仕組みである以上、どうしても手間がかかる。しかも、すべての控除がすべての人に当てはまるわけではない。独身で賃貸に住んでいる人と、持ち家で子どもがいる人では、使える控除項目はまったく違う。副業をしている人とそうでない人でも違う。だから、「全部知らなきゃいけない」と思う必要はない。大事なのは、自分の生活の変化に合わせて、そのつど「もしかして使えるかも」と気づけるかどうかだ。引っ越したとき、親の介護が始まったとき、医療費がかさんだとき。そういうタイミングで、少しだけ立ち止まって調べてみる。それだけで十分だと思う。焦って全部を把握しようとすると疲れてしまうし、結局続かない。自分のペースで、少しずつ知識を増やしていけばいい。

来年の自分が少しだけ楽になるように、今できることから

見落とされがちな控除項目というのは、知っている人だけが得をする仕組みではなく、生活の変化に気づくためのヒントでもある。医療費の領収書を取っておく、ふるさと納税の証明書をファイルにまとめる、市販薬のレシートを保管しておく。そういう小さな習慣が、確定申告のときに自分を助けてくれる。今年見落としていたとしても、来年からでいい。少しずつでいいから、自分の生活と控除を結びつけて考える時間を持ってみる。それが積み重なっていけば、数年後には「あのとき知っておいてよかった」と思える瞬間が必ず来る。完璧を目指す必要はない。ただ、少しだけ意識を向けてみる。それだけで、見える景色は少しずつ変わっていくと思う。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次