給料日前になると、いつも同じことを考えている
給料日の翌週には、もう財布の中身が心もとなくなっている。そんな経験、ありませんか。毎月それなりに働いて、無駄遣いをしているつもりもないのに、気がつけば口座の残高は増えていない。「今月こそは貯金しよう」と思っても、月末にはまた同じ状況になっている。なぜ会社員は毎月頑張っても貯金ができないのか。それは怠けているからでも、意志が弱いからでもなく、もっと構造的な理由があるのかもしれません。通帳を見るたびに感じる、あのモヤモヤした気持ち。その正体を一緒に考えてみたいと思います。
お金が「見えない」まま出ていく仕組みになっている
会社員の給料は、振り込まれた瞬間から様々な方向へ流れていきます。家賃、光熱費、通信費、保険料。これらは口座から自動で引き落とされるため、自分で「使った」という実感がないまま消えていく。さらに、クレジットカードや電子マネーの普及で、日々の買い物も現金を触らずに済むようになりました。便利になった反面、お金を使っている感覚が薄れてしまったのです。昔は財布から現金が減ることで「使いすぎたかも」と気づけたのに、今はスマホをかざすだけ。数字が減っていることには後から気づく仕組みです。
加えて、会社員特有の「付き合い」という名目の支出も見逃せません。歓送迎会、部署の飲み会、取引先との接待。断りづらい空気の中で参加すると、一回で数千円が飛んでいく。それが月に数回重なれば、数万円です。自分のために使ったわけではないのに、財布からは確実にお金が出ていく。こうした「見えにくい支出」が積み重なることで、貯金する余裕がどんどん削られていくのです。頑張って働いているのに、お金が残らない。その理由の一つは、支出が「見えない」構造の中で生活しているからかもしれません。
お金の流れを、もう一度自分の目で確かめてみる
「貯金できない」ではなく「何に使っているか分からない」
貯金ができないと感じるとき、多くの人は「自分は浪費家なんだ」と思い込んでしまいます。でも実際には、浪費しているわけではなく、ただ「何にいくら使っているのか把握していない」だけということが多いのです。把握していないから、どこを調整すればいいのかも分からない。結果として、毎月同じパターンを繰り返してしまう。言い換えれば、貯金ができないのは性格の問題ではなく、情報不足の問題なのかもしれません。自分のお金の流れが見えていないだけで、見えるようになれば対処法も見えてくる可能性があります。
コンビニで缶コーヒーを買う、その積み重ね
朝、駅のコンビニで缶コーヒーを買う。昼休みにちょっとしたお菓子を買う。帰りに喉が渇いて、ペットボトルのお茶を買う。どれも150円から200円程度の小さな買い物です。でも、これが週5日続けば月に20日。一日500円だとしても、月に1万円です。さらに、週末に外食やカフェに行けば、そこでも数千円が消えていく。一つひとつは小さくても、合計すると意外な金額になっている。こうした日常の「ちょっとした支出」が、貯金を妨げている大きな要因になっていることに、多くの会社員は気づいていません。悪いことをしているわけではないのに、お金が残らない理由がここにあります。
全部を管理しなくても、まずは「気づく」だけでいい
お金の流れを把握すると聞くと、家計簿をつけたり、アプリで細かく記録したりしなければいけないと思うかもしれません。でも、最初からそこまでやる必要はないのです。まずは一週間、レシートを捨てずに取っておいて、週末に並べてみるだけでもいい。「こんなに使っていたんだ」と気づくこと自体が、最初の一歩になります。完璧に管理しようとすると続かないので、ゆるく、ただ「知る」ことから始める。それだけで、次に買い物をするときの意識が少し変わるかもしれません。無理に節約しようとしなくても、自分の行動が見えるだけで、自然と選択が変わっていくことがあります。
すぐに変えなくていいし、全員に当てはまるわけでもない
ここまで読んで、「じゃあ今すぐ支出を見直さなきゃ」と焦る必要はありません。人には生活のリズムがあり、今の支出が自分にとって必要なものである場合もあります。たとえば、仕事のストレスが大きい時期に、コンビニでの息抜きが心の支えになっているなら、それを無理に削る必要はないでしょう。また、家族構成や住んでいる地域、働き方によって、支出の構造はまったく違います。都心で一人暮らしをしている人と、地方で実家暮らしの人では、前提条件が異なるのです。
大事なのは、「貯金ができない自分はダメだ」と責めることではなく、今の自分の状況を冷静に見つめることです。もしかしたら、今は貯金よりも優先すべきことがあるかもしれません。スキルアップのための自己投資や、人間関係を維持するための交際費が、長い目で見れば自分の資産になることもあります。焦って全てを変えようとすると、かえって続かなくなる。少しずつ、自分のペースで、まずは「知ること」から始めてみる。それが、無理なく続けられる第一歩ではないでしょうか。
半年後の自分が、少しだけラクになるために
なぜ会社員は毎月頑張っても貯金ができないのか。その答えは、怠けているからではなく、お金の流れが見えにくい環境の中で生活しているからかもしれません。自動引き落とし、キャッシュレス決済、見えない付き合い費。これらが重なることで、気づかないうちに支出が膨らんでいく。でも、それは誰もが陥りやすい状況であり、あなただけの問題ではないのです。
今日からできることは、完璧な家計管理でも、厳しい節約でもありません。ただ、自分が何にお金を使っているのかを、少しだけ意識してみること。レシートを一週間取っておくだけでも、見える景色は変わります。そして、見えたものに対して、すぐに行動を変える必要もありません。ただ「知っている」状態になるだけで、次の選択肢が少しずつ増えていくはずです。
半年後、一年後の自分が、今よりも少しだけ安心できる状態になっているために。焦らず、責めず、ただ自分のお金と向き合う時間を、少しだけ持ってみる。それが、貯金への第一歩になるかもしれません。頑張っているあなたが、少しでもラクになれますように。

コメント